【短編】髪にキス。





「父親はいなくて、母親は去年死んだな。」

「そう、なんだかごめんなさい。」


あまりにも淡々と言うものだから、私もそのまま返してしまった。


そして私はそのまま口を開いた。


「私のお母さんも両親を亡くしてるの。
さみしかった所にお父さんが助けてくれたんだって。


…先生もそんな人に出会えるといいね。」


それは多分、いや絶対。

私じゃない。

先生の淡々とした様子をみて、私は気付いた。


「…そうだな。」


先生の邪魔をしちゃいけない。