【短編】髪にキス。




「そこの角、右。」


新車なのか、車の中はそんな匂いがしてとても綺麗だった。


車内を暖める暖房の音と、先生の趣味なのかなにかのバンドの楽曲が小さい音で流れてる。


「家の人心配してないか?」

「…お父さんは過保護だから今頃騒いでるかもね。」


心配性で過保護な父を想像して、すぐにそれをなだめる母が浮かんできて自然と笑みがもれる。


「先生の家族ってどんな人たち?」


なんとなくだった。