「好きなの選べばいいだろう。」
「いいから。」
譲らない様子の蒼井にため息をはいた俺はスッキリしたぶどうジュースを指差した。
「じゃあこれにする。」
「…早く飲んで寝ろよ、病人。」
毛布を引っ張って来てかけてやると、すでにストローをさして賢明にそれを飲む蒼井に目がいった。
何時もの何かを憂うるような大人っぽさは少しだけ影を潜めて、必死にジュースをすする彼女に、思わず頬が綻んだ。
「先生が先生らしいところ初めてみたな。」
「俺もお前が病人らしい所を初めてみたな。」
呆れたように言うと彼女はくすりと笑った。


