【短編】髪にキス。




先生を想う気持ちのせいで、先生を素直に想えない。



私がどんなに願って、誰かに無いてすがっても、私は生徒で彼は先生だった。



迷惑なんてかけないから。


先生を欲したりしないから。


どうか、どうか。


私の気持ちに気付いて欲しい。


どうか、どうか。


私を突き放して蒼井と呼んで欲しい。


「…先生。」



あのキスは私の悪あがきで、彼を想う私のわがままを小さなリスクに押し込めた告白だった。