【短編】髪にキス。




小さなガスコンロでお湯を沸かす白衣の後ろ姿を何回みただろう。


白衣が嫌味なほど似合う男で、彼の白衣姿は女子たちの人気だった。


でも私は。



ときおり彼の白衣が、憎くてしょうがなくなる。



巷で可愛いと噂のこの制服も。


「ほら、気をつけて飲めよ、猫舌。」


「ありがとう、先生。」



嫌という程私と彼の関係を主張しているから。


いっそコーヒーでもこぼして汚してしまえばいいのに。


無駄だとわかっててもそう思わずにはいられなかった。