「じゃあ、知らん振りして乗り過ごしちゃえばいいんじゃない?あげないって手もあるし」 「それはやだ!!」 直ぐに返ってきたその返事から察せる通り、莉乃は大事そうに手に抱えているそれを織部先輩にあげたくてしょうがないらしい。 でも、うじうじと考えてさっきっから一向に進まないその様に、いい加減腹をくくっていって来いと背中を押すのが、おそらく俺の役目なんだろうな、なんて考えながら、さも今思いついたかのように声を発してやった。