「まぁまぁ彼氏さん。許してやってくださいな」

莉乃の肩をポンっと叩いて、にかっと笑う。


そのまま、ぼそぼそと何かを莉乃に耳打って「じゃあまたね!」と去っていった。



「………何言われたの」


「なっ、なんでもないです……」



明らかに顔を赤くして、何でもないことはないよね。

いい加減、自分が顔に出やすいってこと自覚するべきなんじゃないの?



「あの、これ………」

顔を真っ赤に染めたまま、おずおずと差し出してきたのは薄ピンク色のハンカチ。


「よかったら、使ってください」

そう言って、目を背けた莉乃に納得した。