莉乃を蝕みながら見据えるのは、散々莉乃を口説いていた男。


呆気にとられているそいつは、口を開けてただただ眺めるだけ。



顔を離せば、くたりと力の抜けていた莉乃を抱き抱えるとそのまま部屋を出て行った。



***




「何も言わずにあんなとこいるとか何?」


「だ、だって、潤に頼まれて……」


「だからってそんなお洒落して行く必要ある?」


考えなしだから、ああやって言い寄られるんだよ。


「で、でもそれなら功希だって何でいたの?私聞いてないっ!」




怒ったように声を荒げる莉乃。

「言う前に電話切ったのは莉乃でしょ」


心当たりがあったのか、その瞬間しゅんとおとなしくなった。