「ただいま」



帰ってきてドアを開ければ、深刻そうな顔で正座をしていた莉乃。


また何か考えてるな……。



「何?」


じっと見つめてくる莉乃に、しょうがないから反応してやる。



「実はね………私、他に好きな人が出来たみたいなの」


「へー。…………で、誰?」


「相川さん」と答えた莉乃は、しゅんと目をそらす。



なるほど、そこで武井の名前を出さなかったのはそこそこ考えたと感心する。

武井だって言ったら、嘘なのがすぐにバレてしまうから。