「功希起きて!ここで寝たら風邪引いちゃうよ!」


ふるふると揺さぶられて、ゆっくりと目を開ける。 

そこには、さっきよりも大人っぽくなった莉乃の姿があって、何年たっても中身は変わらないな。と莉乃の後頭部へと手を伸ばした。





あのときの莉乃は、顔を真っ赤にさせて「好きにしてください」だなんて言うから、無意識に手が伸びてしまって。


危うく奪いそうになった唇を、なんとか額へとそらしたのは今でも記憶に残っている。




そのまま引き寄せて口づけるのは、あの時は触れられなかった唇で。


離した瞬間、真っ赤にした顔で
「い、いつまで寝ぼけてるのっ」
と強がるその姿に、ふっと笑みがこぼれた。