とりあえず今はまーちゃんが早く退院してほしい。


それだけ。


容態が安定して、家に戻ってきてほしい。


みこはいつも通りに放課後、玄関へ直行した。


靴を履きかえていると、後ろから声をかけられた。


「美音」


振り向くと、菜乃子が立っていた。


「菜乃子…」


「最近、部活に来てないみたいだけど。自覚くらいはしてるよね?」


「…何の?」


すると菜乃子は嘲笑った。


「やっぱりしてなかったか。あなた、ソリもソロも貰ったんでしょ?他のみんながどれだけ練習頑張ったとしても、あなたで失敗したらおしまい。全部水の泡なの。特に私たちにとっては最後のコンクールだし」