そして私は引越した。

携帯のアドレスも変えた。

何もかもたくみに知られているものは全て変えた。

彼の前から姿を消したかった。

たくみは私を探すだろうか?

そんなことすら考えたくなかった。

彼の全てを本当に捨てられるのか悩んだ。

彼に会えない週末を一人で過ごすなんて地獄を味わうようだ。

でも前に進むしかないと思った。

彼に抱かれたいと思って泣いた。

涙が枯れるまで泣いた。

涙はちっとも枯れなかった。

そのうち泣かなくなった。

たくみのいない週末に慣れてきた。

耐えられなかった悲しみも薄れてきた。

いつかどこかでばったり彼に会うかもしれない。

その時答えが出るはずだと思った。

何も急いで忘れる必要はないんだと思った。