そして、

真奈美:「お先に失礼しまぁす。」

部長:「お、お疲れさん、今日は早いねぇ~デートか?」

真奈美はこの発言を

『セクハラ』

と騒ぐような妙なフェミニストではない。

部長との人間関係は正常である。

特別愛想の良いタイプの人間ではないが、この年なりに一応世間を知っているつもりでいる。

真奈美:「あはは、またぁ、だといいですけどねぇ、おばさんは月曜からお疲れだから早く帰って休みマース!」

だが、この最後の会話で疲れがどっと倍増してしまったのは事実である。

最悪だ。

月曜の午後6時前、駅ビルに立ち寄る気力もなく電車に飛び乗る。

ちょっと前までの真奈美なら、こういうときは迷わず駅ビルかデパートに一目散して衝動買いに走っていたが、近頃はそんな気分にもなれない。

駅のホームに到着する。

混み合う車内、やはり座れない。

次の始発を並んで待つ気力もなく、あきらめてそのまま車内にとどまった。