躊躇いのキス

 
「これは、べつに冗談でもなんでもないんですけど」

「……」


左手薬指にはまる指輪を指差して、
首をかしげながら微笑む雅兄。


やっぱり雅兄には勝てない。

あたしを喜ばす、一番の想いをもっているから……。



「……殴られないようにね」

「覚悟しておきます」



まあ、あたしの両親なら、相手が雅兄なら返って歓迎すること間違いないだろう。



「愛してるよ」

「…っ」



わざとらしく耳元で囁く言葉に
分かってはいるけど、頬がみるみるうちに赤く染まって……。



「……あ、たしも……」

「ん?」


「あたしも愛してるし!!」



まだまだ、可愛らしく言える日は遠いかもしれない。


「知ってる」


だけどきっと彼なら分かってくれる。


だってあたしは、
22年も彼を好きでい続けたんだから―――。




          ~fin.~