「うーん。他にないですか」



宿屋住まいをしているティアとしては、もう少し報酬の高いものがよかった。



「ああ、そういえば!!」



店主は思い出したようにゴソゴソとカウンター下から一枚の依頼書を取り出した。



「これは…」



依頼書に書かれている薬草名には見覚えがあった。



「そうさ。前にティアに依頼した薬草と同じものだ」


トントンと店主は依頼書を指でたたく。



「2日前に入った急ぎの依頼だ。報酬は高いぞ。でも、期日がな…」




「7日後!?」



急ぎとはいえ、いくらなんでも短かすぎる。


そうなんだよ、と店主はため息をつく。


あの採取地には急いでも片道3日かかる。往復6日。採取のための山登りの時間をあわせると帰ってくるのはギリギリだ。