薬品と恋心


廊下には誰もおらず、アーチ型の窓から差し込む月明かりだけが暗い廊下を点々と照らし出していた。


所々に置かれた真新しい置物や調度品がティアの行く手をじゃましている。


あたってしまったら一巻の終わりだ。


さらにこの屋敷じたいがティアが逃げ出すのを許さないとでもいうように、足を踏み出すたびにギィギィと音をならす。


普段なら気にならない程度の音なのだが、暗く静寂な空間にそれは大きく響いているように思えた。


ーそして、難関が近づいてきた。