｢レティシア様。探してくれてありがとうございます｣



お礼を言うとレティシアは肩から力を抜いてやわらかな微笑みを浮かべた。



｢私の妹になるんだから、これからは何でも相談していただければ嬉しいわ｣


｢はい｣



微笑みを返したとき、少し離れたところからジーニアスの声が聞こえてティアはそちらに顔を向けた。


ジーニアスともうひとりがこちらに歩いてくるのが目に入る。


赤い髪をしていて、なんとなくジーニアスに似ている。


きっと、あの人がジーニアスの兄であり、レティシアの婚約者なのだろう。


会ったことがある気がするのはきっと気のせいではない。


優しい人たちが周りにいることを実感してティアの心が温かくなる。



｢あら、やっと来たわね｣


平静を装っているが、レティシアも心なしか嬉しそうだ。


いてもたってもいられず、ティアは席をたち、ふたりのもとへと走り出す。


自分を探してくれた兄となる人と、愛しい人にお礼を言うためにー。






Fin