そして、レティシアがティアを舞踏会に連れていったのにも理由があった。


調合師となったジーニアスはなかなか王都に帰らなかったため、このままでは王家と繋がりを持ちたい貴族が自分の娘をジーニアスの婚約者にしかねない勢いであったこと。


だから、一度王都に婚約者として嘘でも手頃な娘を連れて帰る必要があった。


そうすれば、一時的にでもしのげたはずだった。


しかし、ジーニアスはそれを拒否してなかなか王都に帰ろうとしない。


いよいよ時間がなくなってきたころ、ジーニアスはティアを屋敷に連れてきた。


ティアがジーニアスの探し人であることがわかり、ジーニアスがティアに好意があることに気づいたため、悪いとは思いつつティアを利用する形で王都にジーニアスを向かわせるように仕向けたのだということも。


レティシアの作戦は効を奏し、ジーニアスがティアを連れて帰ったことにより、その貴族たちは何も言えなくなったらしい。