ティアの首筋にしるしを着けた日から毎日のように理由をつけてゲオルグは来るようになった。


ときにはメイドの仕事である食事運びを奪って現れた。



「ジェンティアナ。何か欲しいものはないか?ドレスでもなんでも揃えてやるぞ」



ティアの心を手に入れようとしているのか、何が好きか、欲しいものはないかなどを執拗に聞いてきた。


しかし、ティアはそれに答えずただ黙って座っていた。


そんな日が続いたある日。


その日もいつもと同じようにゲオルグが現れた。


ただいつもと違ったのは、バンッと扉が壁に打ち付けられるぐらい勢いよく開けられたことだ。