今のところ馬車の周りを固めている男たちの他には誰もいない。



ー追手は来ていない。



ティアはほっと息をついた。


舞踏会に参加すると決めたものの、ティアは追手に追われているため、公の場に姿を現すのは危険だった。


特に今回の舞踏会は貴族以外も出席できる大きなものらしく、商売を目的とした貴族と親交のある商人も多数参加する。


その中に追手が紛れ込んでいないとも限らない。


そのため、ティアが舞踏会に参加するには追手から気づかれないようにする必要があった。