「......ぎ...ひい......柊...っ。」

「ヒーラギ!」


私はその声に誘われるように目を開けた。


「ヒーラギ!気づいたか!」

「よかったぁ...。」


仲間達に囲まれ、あたしは戸惑っていた。


「え...?ここ...。」

「病院だよ。お前、今まで意識失ってたから。」

「まぁ、俺らも意識失ってたり動けなかったりしてたけどな。」


仲間達がのんきに笑いながら話している。


「...救急車で運ばれたっつーことか。」

「そういうこと。」


でもあたしは一つ、疑問があった。


「...誰が救急車、呼んだんだよ。」


あたしのその質問に、みんな首をかしげる。


「俺じゃねぇよ?」

「俺も、意識なかったし。」

「俺も呼んでない。」

「あ...。」


私は1つ、心当りがあった。


「あのとき、警察呼んだって言ってた...ちっちゃい男の子...。」

「あ?ガキ?んなのいたか?」

「仙田は気、失ってたんだろ。俺も見たよ、そいつ。身長も低かったし、体も結構華奢な感じだったぞ?」


織井が言った。


「いたよな、あの場に。」

「ああ。小学生...?いや、中学生か。」

「そいつじゃねぇか?救急車呼んだの。」

「わかんねぇ。そのあとの記憶ねぇや。」


あたしはその声を鮮明に覚えていた。

しかも、その男の子は...。


「その子、さ...。あたしの名前、知ってたんだ...。」

「ヒーラギの名前を?」

「ああ。『大丈夫?明音さん』って、その子、確かに言ったんだ。」


あたしはその男の子のことをずっと考えていた。