校門に出ると、何人もの不良が見下すようにあたしを見つめていた。


「ハハッ。1人かよ。」

「可哀想だねぇ、仲間に見捨てられたのか?」

「...そんなんじゃねぇ。お前らにはあたしだけで充分っつーことだよ。」

「随分とナメられたもんだな~。行くぞ、お前ら!」


その言葉を合図に、男達は一斉に向かってくる。

どうやってかわそうか、どうやって攻撃しようか。
それを考える暇がない。

あたしはもう、一心不乱に向かっていった。

でも、目の前の奴を倒すだけで精一杯で、こんな人数とてもじゃないけど...。


すると、「俺らの姫に、いじめとか、最低だな。」と、聞き慣れた声がした。

「そうだそうだ!女の子に何人がかりだよ?」


そして、口々にそいつらに向かって非難の声を浴びせる。


あたしが振り向くと、そこには織井達がいた。


「お前ら...おせぇよ、バカ!」

「ごめんごめん、ちょっと収集に手こずった。」


織井が頭を掻いて言った。


「っつーか、お前ら早く手伝えよ!」

「えっ?ああ、わりぃ。」


ったく、コイツらはあたしが喧嘩中だっていうのに決め台詞みたいなの言いやがって...。

織井達も一気に殴りかかりにいく。

...けど、どんどん仲間が倒されていく。
これじゃあ...。

仲間が苦しむ声がやけに鮮明に聞こえる。
あたしも、殴られ蹴られで、そろそろ限界だ...。


「...ヒー...ラギ...。」


織井の苦しそうな声。


「わりぃ...トップ...守れねぇ...。」


そういった途端、「お巡りさん!ここです!ここで喧嘩してるんです!」と言う、男の子の声がした。

それは、まだすごく幼い子どものような、そんな声。


「やべぇっ。逃げるぞ!」


男達はそう言って走って逃げていった。


「ふふっ楽勝♪あっ大丈夫!?明音さんっ!」


その言葉を聞いて、あたしは意識を手放した。