君が望む未来の中で

『次はカラオケにでも行って盛り上がれ!』


「カラオケかぁ~。」

「楽しそうですね!」


あたしたちは近くのカラオケボックスに入った。


「ん~何歌おうかな。」

「僕、あんまり曲知らないからなぁ...。」

「あーじゃあこれとかどうだ?」

「あ!ちょっとだけなら知ってます!一緒に歌いましょ?」


あたしはその曲を入れ、マイクを握る。


そして、歌い出しであたしは繋の声に驚いた。

透き通るような綺麗な歌声だった。

歌い終わると、繋は微笑んだ。


「なんか、明音さんと二人だけだと、緊張せずに歌えますね。」


あたしは緊張していたけど。


「明音さん、上手でした!」

「繋の方が、上手いよ。」

「そんなことないですよ!明音さんの歌声、綺麗です。」


繋に言われると惨めっつーか...。


「楽しいですね、カラオケ!」

「そう、だな。」


まぁ、繋が楽しいならいいか、とあたしはまた曲を入れた。


「なんていう曲入れたんですか?」

「[WING]。一人で歌うときはこの曲絶対入れるんだ。」


そして、イントロが流れると、繋は「あ!」と声を出した。


「どうした?」

「この曲、母さんが好きな曲でした!そっか...この頃から母さんはこの曲...。」


繋は懐かしそうにそのイントロを聴いていた。

あたしはこの曲が好きだ。
真っ直ぐ生きていくっていう、前向きな曲。
未来のあたしも、この曲が好きだったんだ。

あたしは少し嬉しくなりつつ、歌を歌い始めた。