『5日目!今日からお前ら、好きなだけイチャつけバカ(^з^)-☆』


「な、何すりゃいいんだよ、あたしら。」

「書いてあるだろ?両想いなんだから最後の3日くらいイチャつけよ!」

「好きなとこに行ってこいよ、な、織井!」

「あぁ。楽しんでこいよ。」


織井も優しげな笑みを浮かべている。
こうして改めて見てみると、織井はいつも優しい。
あたしのことを気遣ってくれてるのがわかる。


「ありがと...。」


あたしはそう言って繋を連れ出した。


「残り、3日か。」

「そうですね。明後日は、運命の日です。」

「...心残り、ねぇのか?なんか、やりてぇことあったら、何でも叶えてやるよ。」


あたしがそう言うと、繋は少し考えたあと、「じゃあ、今日は母親として甘えてみてもいいですか?」と言った。

意外な返答だったが、あたしは微笑んで頷いた。


「あぁ。好きなだけ甘えろ。敬語も外せ。」

「ふふっありがと、母さん。」


繋は嬉しそうに笑って、あたしに寄り添ってきた。


「いいよ。」


あたしは繋の頭を撫でる。

こんなこと、全くやったことないけど、あたしは今、繋の母親になる。


「どこか行きたいとこ、あるか?」

「...ううん。母さんといられたら、僕はどこでもいい。だから...だから僕のこと見てて?僕から、離れないで...?」


繋はギュッと抱きついてきた。


「離れねぇよ。」


あたしも繋を抱き締めた。


「...温かい、や...。」


繋の声が涙声になっている。
繋は本当はこんなにも甘えたで、怖がりで、脆いやつなのに、今まで親に甘えられなかったなんて、どれだけ辛かっただろう。


「あたしの家で、ゆっくり過ごすか。」

「うん。」


そうしてあたしたちはあたしの家についた。


「ねぇ、母さん。」

「ん?」

「一緒にお昼寝、しよ?」

「あぁ。たまにはいいな、そういうの。」


あたしは繋と一緒にベッドに寝転がった。


「手、繋いでいい?」

「いいよ。」


あたしたちは手を繋いで眠った。


それから1時間後、あたしが目を冷ますと、繋はあたしを見つめていた。


「起きてたのか...。」

「早く目が覚めちゃって。ねぇ、母さん。僕、お腹すいちゃった。ご飯...作れる?」

「...作ったことねぇけど、やってみる。」


あたしはそう言ってキッチンに行き、見よう見まねでオムライスを作り始めた。
そして数分後。
卵はぐちゃぐちゃだし、見た目は悪い。


「わ、わりぃ、繋。やっぱ上手く作れなかった。」

「ううん。食べていい?」

「あぁ。」


繋に申し訳ない。
母親がオムライスすら作れないなんて...。


「おいしい...。」

「え?」

「これ、すごくおいしいよ!母さんすごい!」


繋が嬉しそうに食べる。
あたしも一口、食べてみた。


「あ、意外といける...。」

「でしょ?母さん、料理上手いんじゃない?」


だったらいいけどな。
あたしはそう思いながら食べ進めた。


そして、夜になると、繋はあたしに「夜、寝かしつけてくれないかな...?」と言った。


「いいよ。」


あたしは繋が寝るまでトントンと規則正しく寝かしつけた。
そして、寝息が聞こえると、あたしもベッドに潜り込んで眠った。