「なんか...あれだな、その...。」

「あ、あれ、ですね...。」

二人でどぎまぎした会話をする。
何故か突然意識してしまうこの感情は、多分シチュエーションのせいだろう。


「僕、初めは明音さんのこと、母さんだと思って見てました。でも、今は母さんとは違う感情です。」


繋が俯きがちにそう言った。


「な、なんだよ、突然...。」

「この前は、明音さんの気持ちに答えられなかったけど、今だけは...神様も許してくれますかね。」


あたしはコクッと頷いた。


「僕...明音さんのこと、好きです。」


繋はそう言って、あたしの目を見つめた。

あたしも、繋に気持ちを伝えたい。


「あたしも、繋のこと、好き、だよ。」


気持ちが溢れていく。
そう答えると、繋はふっと笑って、「時間切れですね。」と言った。

観覧車はもう下まで来ている。


「そう、だな。」

「さっきの告白は、本気です。でも...明音さんのこと、ずっと見ていてくれている人がいます。」

「え?あたしのこと、見ていてくれている人...?」


繋は観覧車から降り、目線を一点に向けた。

その目線の先には...。


「織井...?」

「...彼は明音さんのことをずっと影で見守っていました。好意を寄せてるんじゃないですかね?」


繋はそう言って駆け寄ってくる織井を見つめていた。