部屋に戻る気にもなれない。
繋と一緒にいなきゃいけないと思うと、あたしは絶対戻りたくなかった。

仲間にはメールで一言、[帰る]とだけ打って帰った。

荒れていく、荒れていく...。
心の中がグシャグシャになっていくようなそんな感覚。

好きな人が大嫌いになった。
気持ちを伝える温かく甘いはずの言葉が、冷たく尖った凶器のように、繋を傷つけた。
あたしをずっと助けてくれた優しい人を、あたしは突き放して憎んでいる。


...仕方ないことだ、全部。
繋があたしの気持ちを踏みにじったから。
繋があたしの言葉に素直になってくれなかったから。

メールの着信音がして、あたしは画面を見る。

そのメールは神田からだった。

[繋、泣きながらずっと壊れたみたいに謝り続けてんだけど、なんかあったのか?
何聞いても繋、聞こえてねぇみたいでさ。
俺のせいだったらごめんな。
出来れば連絡くれると嬉しい。]

...連絡なんてする気ねぇよ。
泣きながら謝り続けてるって言ったって、あたしは悪くない。
繋を宥める必要なんて、無いじゃんか。


「...ヒーラギ!」


聞き慣れた声がして、あたしは振り返った。

そこには、息を切らした織井がいた。