「な、なんですか...?」


人通りの少ない廊下で、あたしは立ち止まった。


「え、えっと...。」


動揺してるのが繋にバレバレだろう。
心音が繋に聞こえてしまいそうで恥ずかしい。
顔も今、真っ赤だろう。


「明音さん、体調悪いんですか...?」

「ち、ちげぇよ。いいから、黙って聞いてろ...!」


ついつい当たりがキツくなる。

繋は少しビクついたあと、「は、はい...。」と大人しくした。



「えっと...その...あたしにとって繋はなんか違うっつーか、繋と一緒にいるといつもの調子が狂うっつーか...?」


あぁ、このままじゃ繋が悪いみたいじゃねぇか。


「じゃなくて、いや、そうなんだけどさ、その...あたしはこういうの初めてでよくわかんねぇんだけど...。」


言葉が上手く出てこない。
でも、今は精一杯自分の気持ちを正直にぶつけることしか出来ない。

あたしは一つ息を吸って、繋を見つめた。


「あたしは、繋のことが、好き...だ。」


あたしはその言葉をやっとの思いで伝えた。


繋は俯いていて、表情が読み取れない。
だけど、肩が震えているのが分かった。

そして、震えた、泣きそうな声で繋はあたしに言った。



「すごくすごく、ビックリしたし、すっごく嬉しかったです。だけど、ごめんなさい...。僕は...僕は未来から来た、明音さんの出来損ないの息子なんです...。」