「...柊ちゃんって、本当、鈍感なんだな、自分の気持ちに。」


神田が微笑ましく見てくる。

...なんか、気持ち悪い。


「繋のこと、特別だって思ってるんだろ?俺らより、繋の方が、大切だろ?失いたくねぇだろ?」

「大切...?」


それは、どうなんだ?
コイツらのことだって、大切で、失いたくない...って、改めて考えると気持ち悪いな、あたしも。


悩んでいるあたしを見て、神田がまた小さく微笑み、「質問変えるな。」と言った。


「柊ちゃん、繋といるとき、少し緊張したりしたことねぇ?なんとなく、ドキドキするっつーか...楽しませてやりたいって思うとか。」


それはなんとなく当てはまっていた。

この頃、繋と一緒にいると、なんとなくソワソワして、気持ちがザワザワして落ち着かない。
繋にカッコ悪いとこ見せたくねぇって思うようになったし、繋に助けられるより助けてやりたい。
繋を、笑顔にしたいって、たのしませてやりてぇって、確かに思う。


「柊ちゃんのそれは恋なんだよ。好きなら告るとかしちゃえば?」

「こ、告る!?」

「恋はちょっとくらい突っ走っちゃっても良いものだと俺は思うよ。相手を思って、ソイツだけしか見えないようなバカになっても良いってね。」


告るとか、あたしには全然実感がわかない。

好きですっていう言葉?
付き合ってくださいって言葉?

待て、付き合うってなんなんだよ...。


ドラマに出てくるありきたりな言葉が脳内を駆け巡る。


今までの悩みは、喧嘩して一発で解決する悩みだった。
でもこんなに繊細で、どうしようもなく考え込んでしまう悩みは初めてだ。


繋に会って、初めてなことが多すぎる。
それにあたしは戸惑っている。

でもそれは、繋を好きだってことを意味している気がしている。


新しい風を吹き込んでくれた繋が、
他のヤツらとは違う優しさを持った繋が、
あたしを守ろうと飛び込んで行く繋が、
温かい笑顔を見せてくれる繋が、








あたしは好きなんだ。