織井の家に着き、繋をベッドに寝かせ、傷の手当てをした。

織井はマンションに一人暮らしで、あたしたちもよく織井の家に集まって遊んでいるのだ。


「ん...。」


繋の声がし、あたしたちはベッドに目を向けた。


「大丈夫か、繋。」

「は、はい...痛っ...。」

「怪我してっからな。しばらくは安静にしてろよ。」

「はい...すみません、ご迷惑お掛けしました。」

「お掛けしてねぇから休め。」


仙田にそう言われ、繋は少し起こしていた体をもう一度ベッドに預けた。


「...ダサいですね、僕。明音さんのこと守ろうとしてやられちゃうとか。」

「いや、ダサくねぇ。少なくともあたしはちょっとカッコいいと思ったよ。喧嘩とかしねぇような繋が、体張って助けようとしてくれててさ。」

「明音さん...。」

「あーでも、繋はもう少し強くなってから喧嘩しろよ?」

「そうですね、僕、初めてだったし。」

「お前は俺らといると初めてなこと多いんだな。」

「ですね。何もかもが新鮮です。怖いことも腹が立つことも痛いことも、なんか嫌じゃない気がします。」


繋はそう言って微笑んだ。


「なんか、明音さんや皆さんといると、ワクワクしてすごく楽しいです!ありがとうございます!」


今まで不良として扱われてきたあたしたちが、初めて感謝されて胸の辺りが温かくなった瞬間だった。