次の日、あたしは学校の空き教室で仲間達に繋のことを質問され続け、答えていた。


「んで、名前は繋って言うんだな。で、その繋が、ヒーラギに借りがあってそれを返してる最中っつーことか。」

「ああ。まぁ、まとめればそういうことだ。」

「でも柊は何をしてやったか覚えてねぇんだよな。でもさ、そんなに何度も助けてくれてんのにまだまだ足りねぇっつーことはお前、よっぽど繋になんかやってやったってことだろ。」


確かに、あたしは何かをしてあげたんだろう。
それがなんなのか、全く思い出せないけど。


「ってかさ、アイツ...繋って、お前が困ってるときにだけ現れるよな。」


確かにそうだ。
繋はあたしが困った時にだけ現れる。


「なんだよ、アイツ。予知でもしてんのか?」

「そんなことしませんよ。」


背後から突然声がし、あたしたちは一斉にその方を向く。
そこには繋がニコニコと微笑みながら立っていた。


「うわぁっお前っ、いつからそこにいたんだよ!?」


戸田が繋を指差しながら言った。


「えっ、今さっきですよ。さすがに僕、そこまで存在感無いことはないと思うんで...。」

「つーかお前、ここ高校だぞ?どうやって入ったんだよ。」

「明音さんに直接渡したい物があるからって言ったらすぐに入れてくれました。楽勝ですよ。」


賢いっつーかズル賢いっつーか生意気っつーか...。


「でも、なんで繋はあたしが困った時にだけ現れるんだよ。」


あたしは疑問をそのままぶつけた。


「それは...。明音さんのこと、気になるから、たまに後ろをついていってるっていうか...。」

「...つまりお前は柊のストーカーって訳か。」


戸田の言葉にあたしは驚き、繋は焦る。


「はぁ!?」

「ち、違いますよ!そうじゃなくて...えっと、その...ストーカーとかじゃなくて...。でも、ごめんなさい...。」


繋は申し訳なさそうに肩をすくめた。


「ストーカーってお前...。」


織井がハァッとため息をつく。


「ま、まぁ、いいよ、繋。繋はあたしのこと助けてくれてるんだし。」

「ありがとうございます...。」

「でも、さすがに後をつけられてんのはあんまりいい気しねぇから、これからは一緒に行動しようぜ。」


あたしの言葉にその場の誰もが驚いていた。


「い、いいのかよ柊!?」

「ストーカーしてた奴だぜ?」

「そ、そうだよ、それにコイツ、喧嘩とか...。」

「いいんですか...?明音さん。」

「...いいだろ、それで。だって、助けてくれるんだろ?だったらコソコソされるよりよっぽどいいし、喧嘩の時はかくまって助けてやればいいだろ。」


あたしの案はどうやら納得させられたらしく、仲間は「まぁ、そうか...。」と頷き、何故か繋は涙目になっていた。


「って、なんで繋は泣きそうになってんだよ。」


その質問に、繋は震えた口を開いた。