コンビニに着き、あたしたちは自分の目的のものを買うためバラバラになる。


「えぇっと...確かこの辺りに...。」


あたしはお気に入りのイチゴオレを探す。


「ん。これだろ?」


横からそのイチゴオレが差し出され、その手の先には織井がいた。


「お、おう。え、でもなんであたしがこれ探してたって分かったんだ?」


あたしがそう言うと、

「ここに来るとヒーラギはいつもこれ買ってるだろ?意外と女らしいもん飲むんだなーって思ってたからさ。」

と答えた。



「バカにしてんのか?織井。」

「してねぇよ。案外可愛いとこあるんだなーと思って。」

「バカにしてんじゃねーか、バカ織井。」


あたしはそう返し、イチゴオレを乱暴に受け取った。

ったく、あたしをからかおうとでも思ってんのか...?


あたしは他にグミを買い、他の奴らはまだ選んでいたから先にレジに向かった。


「お会計、370円です。」


そう言われ、あたしは財布を開いたのだが...。


「あ、あれ...?」


財布の中には数えると280円しかない。

何でこんなに財布に入ってないのか記憶を巡らせると、昨日の学校帰りに買い物をし、そのまま金を足し忘れていたことを思い出した。


「ちょ、織...」


あたしは織井に金を借りようと呼ぼうとしたが、横から手が伸びてきて、ピッタリ370円支払われた。


「え...。」



私がその手の方に目をやると、あたしより少し背が低い華奢な男の子が立っていた。

その男の子はお金を出すと、すぐにコンビニから出ていこうとする。


「ちょっと待てよっ!」


あたしは後ろから呼ばれていることは気にも留めずにその男の子を追った。


「待てって!」


あたしはその男の子の腕を掴んだ。


「なんで支払ったんだよ、金。」


その男の子はあたしの方に振り返った。

色素が薄い髪、大きな瞳、長い睫毛、白い肌。

女の子かと一瞬思ってしまうほど、整っていた。


「だって、困ってるみたいだったから。」


声は透き通っていて、あまり男っぽくない少し高めの声。


すると後ろから、織井達が走ってきた。


「ヒーラギ!お前買ったもん置いて...」


織井はあたしにそう言ったが、その男の子を視界に入れた途端、驚いて声を出さなくなってしまった。


「お、織井...?」


あたしが声をかけると、織井はゆっくりと男の子を見つめながら言った。



「コイツだよ...この前、俺らを助けたの。」