雪が舞う冬は年を跨いだ


コンコン


「静,ちょっといいか?」


珍しくノックをして部屋を訪ねてきた音緒。


1月13日の音緒の誕生日を少し過ぎた辺りから『しばらく留守にする』と出掛けていって1週間くらいだろうか?


もともと音緒は最近あまり家にいないから記憶が定かじゃない


旅行だと思ってたからお土産かなぁとか思い『どーぞ』と返事をする。



「久々。」


「おかえり。
 随分長かったね?」


「数日前に帰ってきてたんだけど。
 逆に静がいなかっただろ?」


あ…すれ違いになってたわけだ。


拓真さんが来た日から私はこの家に夜いることが少なくなった。


忙しくないと泣いちゃいそうだったから。


翠さんのとこにいって,ご飯作って片付けして,静奈の世話して…そうしていれば気が紛れた。



「俺さ…親父に会って来たんだ。」


「え…?」


「親にも事情があるから。
 親父のその事情はなんだろうって思って会いに行った。」


確かに…お父さんにも私に話しかけることが出来ない事情があった。


無視している事情があった。


そしてそれは私の為だった。


拓海のお父さんだって拓真さんや拓海に幸せになってほしくて…


その道を作ってくれようとしていたのかもしれない。


それが間違いだってことにやっと気付いたのかも。