「じゃあ,みんなまた来るね。」


次の日,昨日泊まっていった拓海のお兄さん…拓真さんは朝早くに仕事があるからと帰っていった。


一緒にご飯を…と誘い,みんなで集まると結構話が盛り上がり,結局泊まって行くことになったのだ。


拓海の部屋で寝てもらったが,夜中ふと起きると,まだ部屋の明かりが点いていたから9年の溝を埋めていたんだと思う。



「じゃあ私も行ってくる。」


「「どこに?」」


千香と音緒にそう聞かれ,『お父さんのとこ』と答えると盛大に驚かれたのは言うまでもない。


今まで極力お父さんに会うのは避けてきた。


でも聞いてみたいと思ったんだ。


“なんで私を引き取ったのか”


推測じゃなくて,ちゃんとお父さんの口から。



「帰ってから全部話すから!」


私は逃げるようにして家を飛び出した。


千香と音緒に挟まれてたら,お父さんに会う頃には気合いがなくなってそうなんだもん…


今日はタクシーは使わず,歩いてお父さん達の家に向かう。


朝早く出たから,たくさん時間に余裕がある。


それに今日は…