詩月は、こみ上げてくる思いをぐっと堪え、そっと扉を閉める。
そしてたった今、来たふりをし、ノックをして、中に入る。
母親は、ちらと詩月を見てヴァイオリンを仕舞い尋ねた。
「コンクールに弾く曲は上手くいっているの?」
「いえ……まだ満足できる演奏では……」
母親の視線が、詩月の手に握られたヴァイオリンケースに注がれている。
「あの……」
「百合子先生の娘さんが、先生の日記を持っていらしたわ」
母親が、言いかけた詩月の言葉を遮る。
「日記を……?」
「貴方のレッスン日記ですって。
先生は貴方のレッスンを終えた後、毎回日記をつけておられたのね。
娘さんが、『私が持っているより詩月さんが持っていたほうが演奏に役立つはずだから』と」
母親ひ教机に積まれた何冊もの日記から1冊を手に取り、詩月に手渡した。
そしてたった今、来たふりをし、ノックをして、中に入る。
母親は、ちらと詩月を見てヴァイオリンを仕舞い尋ねた。
「コンクールに弾く曲は上手くいっているの?」
「いえ……まだ満足できる演奏では……」
母親の視線が、詩月の手に握られたヴァイオリンケースに注がれている。
「あの……」
「百合子先生の娘さんが、先生の日記を持っていらしたわ」
母親が、言いかけた詩月の言葉を遮る。
「日記を……?」
「貴方のレッスン日記ですって。
先生は貴方のレッスンを終えた後、毎回日記をつけておられたのね。
娘さんが、『私が持っているより詩月さんが持っていたほうが演奏に役立つはずだから』と」
母親ひ教机に積まれた何冊もの日記から1冊を手に取り、詩月に手渡した。



