金木犀のアリア

『理久? 周桜が発作起こして……どうしていいかわからない』



電話の向こうで話す岩舘理久の声が受話器から漏れ、外に聞こえるほどだ。



『薬を2カプセル、口の……舌の下へ放り込め。
5分経って効かないなら、うちの病院へ連れて行け。
親父と兄貴には連絡しておく』



『わかった』



安坂は携帯電話を閉じるのも忘れ、先ほど取り出した小瓶を開けた。

理久に言われた通り、詩月の口に薬を放り込んだ。



郁子がほどなく保健医を連れて、食堂へ駆け込んできた。



「発作が起きてどれくらい? 薬は飲ませた?」



保健医は駆け寄るなり、矢継ぎ早に尋ねた。