赤い電車のあなたへ




“あること”って何だろう?
わたしはその言葉の意味がわからずに考えた。


メモには続きがある。


【“あることは見えないものだ”とそいつは言ったらしい。
それから、チラッと聞いたそうたが、龍ヶ縁がどうたらと呟いたとか。
だから後から龍ヶ縁に行って、その時期に何があったら聞き込みしたら、どうやら地質調査が行われたらしい。あるいはその関係者なのかもしれない】


地質調査!


初めて知った情報だったけど、流石に夏樹だと感心した。


わたしはその人ひとりだけに集中して捜していたけれども、あの人がなぜあの電車に乗っていたのか、それを先に考えて調べるべきだったのかもしれない。


夏樹だからか、男の子だからか。


わたしとは違う着眼点に、目から鱗が落ちた感じがした。


「ありがとう。本当に助かるよ」


お礼を言いながらも、わたしはほたるにどうしても訊きたいことをたずねた。


「どうして夏樹がわたしのあの人捜しを知ったの? 全然話してなかったのに」


すると、ほたるはあっけらかんとしゃべった。

「あ、それなら。鞠がしゃべったそうだよ」


「え、わたしが!??」


わたしはポカンとして、自分の指で自分を指さした。


全くそんな記憶はないのに、どういうこと??