それじゃまさかすれ違い!?


「あ、ありがとうおばあちゃん。またね!」


わたしはカゴの駄菓子だけ買い、袋をバッグに詰め込んで走り出した。


たまにしか車が通らない県道を横切り、駅に向かい視線をあちこちに向ける。


自転車の人となんてすれ違わなかったけど……。


しっかりしてるようで案外慌てんぼの夏樹だから、電車の時間を間違えたかな。


こういう時にはわたしの地元だとすぐケータイ、ってなるんだけど。


わたし達の清川家はなぜかケータイ禁止令がお祖父ちゃんの遺言でなされてたから、わたしは生まれてこの方持った経験がない。


県道から駅まで一本道だから、まっすぐ行けば会えるはずだけど。


わたしはとにかく駅に小走りで向かった。




駅に向かうその途中、大好きなアオスジアゲハがひらひらと舞う姿を見つけた。


黒い羽根のなかに瑞々しい水色が美しい、その蝶がわたしは大好きで。


知らず知らず、わたしはそのアオスジアゲハを追うようになった。