赤い電車のあなたへ




「どうして、謝っているんだい?」


「……ごめんなさいっ」


わたしは弾けるように顔を上げてから、龍太さんに深く頭を下げた。


どうか薄い闇がわたしの顔を隠すように、と願いながら。


「わたしが……わがままを言ったから、龍太さんをこんな目に遭わせてしまったんです! わたしのせいなんです! ごめんなさい……ごめんなさい! ごめんなさいッ!!」


わたしは椅子から降りて床に膝を着き、龍太さんに頭を下げ続けた。


「何でもしますから何でも言ってください!」


「鞠ちゃん」


龍太さんに呼ばれても、気付かない振りをして続ける。


「お金は……今はありませんけど。アルバイトして渡しますから! それから迷惑かけないように二度と現れませんからッ……ごめんなさい!」


「鞠ちゃん!!」


龍太さんには珍しく強い語気で、わたしはビクッと体を震わせ俯いた。


龍太さんもすぐにはどうこう言わず、深く息を吐いて言葉を選びながらかゆっくりと話し出した。


「……そこまで自分を責めなくともいい。あれは不可抗力だったんだ」