赤い電車のあなたへ






長い長い夜だった。


わたしはずーっと暗い思考の中で揺れ続けていて。前向きな明るい気持ちの持ち方なんて忘れてしまった。


ただ、突発的にごめんなさいと泣いて謝って。ぐるぐると抜け出せない螺旋のなかにいた。





何度泣いたかわからないのに、人間ってこんなに涙が出るんだ。と思うくらいに涙を流し続ける。


せめて龍太さんが目覚めた時にはひどい泣き顔なんて見せたくなかったのに。




「……鞠ちゃん?」


龍太さんのかすれた声を聞いたのが、夜明けと朝の境目の時間で。


わたしは龍太さんの布団にしがみついて泣いていたから、予想外の声にビクッと体を震わせた。


「……どうして泣いてるんだい?」


龍太さんの声がわたしに問う。泣いてるのは明らかな状況だったけど、わたしは認めたくなかった。


けども、声を出せば湿り気を帯びたそれで気付かれてしまう。だからわたしは黙るしかない。


わたしは顔を伏せたまま押し黙る選択をしたけど、龍太さんはさらにわたしに問いかけてきた。