そんなこんなでトラブルは解決し、夏樹は駅までほたるを迎えに行った。


龍太さんは見つかったし、夏樹は納得したみたいだし。あとは気兼ねなく旅行を楽しむだけ。少なくとも、わたしはそう思っていた。







龍太さんと龍治さんは話しを終え、ロビーから出てきた。


その間にわたしはほたるや夏樹と一緒に待っていて、2人がある程度納得した顔つきだったからホッとした。


龍治さんが龍太さんの事情をきちんと汲んでくれたなら嬉しい。


別にわたしが関わる事でもないのに、わたしはすっかり考えが龍太さん寄りになってた。


「お待たせ。みんな昼飯は済ませた?」


そう言われて気がついた。自分のお腹がだいぶ空いてることを。


松田先生の診療所でお菓子はいただいたけど、やっぱりあれじゃ足りない。


時計を見ると3時を過ぎていて、お昼ご飯にはずいぶん遅い時間だ。


「あの、わたしと鞠はお弁当作ってきました」


ほたるがバッグから大きなお重を取り出す。


「皆さんも食べられるようにいっぱい作ったので。ね、鞠」


ほたるに話を振られ、わたしは慌てて頷いた。


「はい! おにぎりをたくさん握りました。どんどん食べてください」


勢いで言ってから、かあっと頬が熱くなる。


もしかしたらわたしの作ったお弁当を龍太さんが食べてくれるかも、と思ったら。