夏樹が言った意味がわからない。
“何もわかってない”なんて、いったい何のこと?
「夏樹」
少し恐れを感ながらも、わたしは幼なじみとして彼を呼んだ。
「わたしがわかってないって、何のこと? ちゃんと話してくれないとわからないよ」
「…………」
夏樹はわたしから顔を逸らしながらも、掴んだ腕を離そうとしてくれない。夏樹自身も困惑しているふうに見えたのは、わたしの気のせいかな。
高ぶらせた感情のままに行動して、後は考えていなかったのかもしれない。
「あの……夏樹はどうやってここに来たの? 遅れても来ないから、みんな心配してたよ」
「……みんなって、誰だよ!」
夏樹の口調がまた荒々しくなる。
「あの男も、一緒にいたんだろ」
夏樹は不機嫌そのもので、本気で怒ってるふうに見えた。
「あの男って龍治さんのこと? 龍治さんなら駅で分かれたし、ほたるもいたよ。なんで怒るの?最初から一緒に旅行するって言ってたじゃない」
なんだかそこまで干渉されるのにムッとした。



