赤い電車のあなたへ




「もしかして良子の体調が悪いのと、家出に関係があったというのか?」


龍治さんの問いに、龍太さんは「ああ」と頷いた。


「あの時貴史も持病が悪くなっていた。だからか父親が婚約者との結婚を急いでたが……」


「え……」


龍治さんが話した意外な事実に、いけないとは思いながらわたしは口を挟んでしまった。


「あの……それはどういう事なんですか? 良子さんは貴史さんと付き合っていたんじゃ」


「いや、表向きは違うふうにしたんだ」


龍治さんがわたしに説明を加える。


「君に話した通りに、貴史には婚約者がいた。代々続く会社の跡継ぎとしてね。
もちろん周りが勝手に決めた縁組みで、貴史が生まれてすぐ婚約者が定められたみたいだけど。
けど、貴史には生まれついての持病があったんだ。
それは知り合ってすぐ打ち明けてくれて知ったけど。
貴史は病気がわかってすぐ、お医者から『よくて二十歳まで生きられるかどうかわからない』と告げられていたそうだ」


「……!!」


それはきっと、良子さんにとりあまりにむごい宣告だったに違いない。


好きな人が二十歳まで生きられるかどうかわからないなんて。わたしだったらきっと耐えられない。