そこでふと龍治さんが思い出したのか、こう言った。
「そういえば、5月ぐらいから良子はたびたび具合が悪そうな素振りだったな。美樹は何も言ってなかったけど」
美樹さん……。
確か以前から龍治さんと付き合ってる女性だ、と龍太さんに教えてもらえた。
「ああ。美樹も良子の事は気にしてたが、良子は親友にすらひた隠しにしていた。
それほどに恐れていた理由は……たとえ親友でも知らせるにはあまりに重い現実だったからだろう。
良子は皆に申し訳ないと泣きながら、それでもその秘密をただ独りで護ろうとしていた。
けども、僕は耐えきれなかった。
今にも消えそうなほどやせ細った彼女を見るに耐えなくて。
6月になって良子が誰にも会おうとしなかった時、彼女の部屋に押しかけていったんだ」
「……!」
わたしは龍太さんの大胆な行動を聞いて驚きを感じた。
穏やかで優しいばかりと思っていた彼に、そんな意外な一面があったなんて。
でも、それと同時に胸が締めつけられる。彼がそれだけ良子さんを好きだと叫んでいるようで。



