「よお! スケベ龍治」
軽く手を挙げて龍太さんが出した意外な台詞に、ソファーに腰を下ろした人はすぐさま反応をした。
ガバッと立ち上がり一直線に走りよると、いきなり龍太さんの頬を殴りつけた。
「龍太、てめえ! 今の今までどこに居やがったんだよっ!!」
龍治さんの怒声に龍太さんは軽く頭を下げ、済まないと呟いた。
「おまえが良子をさらって強引に駆け落ちしただの、とんでもない噂で持ちきりだったんだぞ!
もちろん俺は信じなかったが。こうなったら全てをきちんと説明しろよ」
龍治さんの怒りはもっともで、わたしが口を挟める事じゃない。2人の話にわたしは遠慮しようとロビーから離れかけたら、「あ、待ちなよ」
となぜか龍治さんに止められてしまった。
「鞠ちゃんはずっと龍太を探していてくれたんだ。だから事情を知っておいた方がいいよ」
「そうだね」
意外にも龍治さんの言葉に、龍太さん自身も頷いた。
「君は損得抜きで純粋にずっと僕を気にかけてくれた。だから、君にこそ知って欲しいと僕は思うよ」



