わたしが作ったキャラメルは好評で、お昼休みにはあっという間になくなった。
「そうだ、明日なら都合がいいよ」
裏山が見える中庭でお弁当を食べてる最中、向かい合ったほたるが言う。
すると、それを聞いた夏樹がピクリと反応した。
「ほ、ほたるってば!」
わたしは友人の袖を慌てて引っ張る。
わたしの表情を見たほたるは、あちゃーと言いたげな顔をした。
「ごめん! まさか夏樹くんに言ってなかったとは思わなかったから」
ほたるの余計な一言で、夏樹の顔が見る間に険しくなる。
「鞠、いったい何の話だ?」
おにぎりを置いた夏樹がわたしを問い詰めるけど、わたしは返事に窮した。
まさか、わたしの初恋の人を探しに行くだなんて。言えるわけない。
夏樹はむかしから心配性だから、わたしに関していつも神経質なくらいあれこれ気遣って。過保護かなと思えるほど。
たぶん世渡りが下手な従妹のわたしを、心配な妹とかいう感覚で見守ってくれているからだと思うけど。
でなきゃ夏樹くらいの男子がわたしにわざわざ構うはずないし。



