赤い電車のあなたへ




ショーウインドウにはおはぎやおまんじゅうなんかの和菓子がたくさん並べられてる。


季節柄水ようかんや水まんじゅう、わらびもちやくずきりなんかも多い。


色鮮やかな金魚を模したお菓子を入れて、金魚鉢をイメージしたグラス入り水まんじゅうもあったり。なんだか見ているだけで楽しくなる。


「鞠ちゃんはそれがいいのかい?」


龍太さんの声でハッと現実に帰り、彼のぬくもりを体いっぱいに感じてかあっと顔が火照った。


そういえばわたし、龍太さんに体を支えてもらっているんだった、と急に彼を意識して、とくんとくんと心臓が忙しない動きをし出した。


緊張でうまく喋れるか不安で、口を開くのも躊躇われた。


また変なことを口走ったらどうしよう?って。なんか泣きたくなってきた。


少しずつ沈み込む気分を掬い取るように、龍太さんがわたしに声をかけてくれる。


「あの2つの和菓子のうちどちらが鞠ちゃんの好みかな? 僕らのことは考えなくていいから、正直に答えて」


龍太さんが示したのは、ゆず入りのくずきりと水まんじゅう。

わたしは焦りながら2つを比べてみた。