壁に貼られた色褪せてる写真は、主に親戚や家族と写ってる。懐かしいな、とわたしはそっと触れてみた。


写真は勉強机の横にセロハンテープで貼ってあり、のべつまくなしなのか新しいの古いのが混じってる。


一番古いのはたぶん夏樹がお母さんと写ってる1歳くらいの写真。やっと歩けるようになったちっちゃな夏樹を、彼のお母さんが心配そうな、それでいて愛情深い目で見守ってる。


夏の朝霧は今と変わらない緑と青空。その緑陰で土いじりする夏樹と見守るお母さん。これはたぶん健太叔父さんが撮ったんだ。


もちろん叔父さんが加わって、3人で撮影した家族写真もある。


これはたぶん叔母さんが亡くなる前に撮ったんだ。地元の神社での七五三。羽織と袴に身を包んだちび夏樹がちょっと澄まし顔で可笑しい。たぶん幼いなりに理解してたんだろうな。これは大切な写真だって。


ちび夏樹はその後に千歳飴を全部食べちゃったって、叔父さんから聞いたコトがある。


今はわたしの手前隠してるけど、夏樹って実は甘いものが大好きなんだ。