赤い電車のあなたへ




すると、夏樹は大きなため息を着いて、わたしの前にどっかりと座った。


「……俺が怒ってんのはそんな理由じゃない」


「……?」


どういうことだろう、とわたしは頭を巡らせる。
わたしが甘えているのや恋人の事が理由じゃないなら、夏樹が怒る原因がさっぱりとわからない。


もしかしたらわたしは自分でも気付かないうちに、夏樹に無神経なことでもしてた?


案外人ってのはそうだから怖い。本人が気にならなくても、他の人からすれば不愉快だったり迷惑だったり。


幼なじみだからこそ気安くしすぎた、って事だよねやっぱり。


「夏樹、ごめんなさい……あの……何が気に入らないか言って。わたし、気をつけるから」


わたしは一生懸命勇気を絞りだして、夏樹に訊いてみた。


きょうだいのいないわたしにとって、お兄ちゃんみたいな夏樹。彼に嫌われたくないし、仲違いをしたくないと思ったから。