赤い電車のあなたへ




わたしはお風呂の浴槽の中で膝を抱え、どうしようかって思案した。


夏樹は一度決めたら梃子でも引かない頑固さがある。だから、彼に反対されたら旅行は中止になり、龍太さん探しにも行けないかもしれない。


龍治さんとも約束したのに、そんな不義理なことはできないよ!


ただ会いたくて捜してたわたしはともかくも、龍治さんは一年も龍太さんを探し続けてきたのだから。


一度、夏樹に探りを入れてみようか。本当に旅行が気に入らないのか、それとも恋人が別の男性と触れ合うのが気に入らないのか。


そう決めたわたしはお風呂から出ると、脱衣場で部屋着に着替えた。黄色い綿のハーフパンツと、お気に入りの柄Tシャツ。この時期のお風呂上がりは暑いもんね。


バスタオルで髪の水分を拭きながら目指したのは、夏樹の部屋だ。


さっき気付いた疑問を、夏樹に直接確かめようと考えたんだ。本当は何が気に入らないのか、はっきりさせるためにね。


せっかく旅行が明日からなのに、当日になって夏樹が反対して中止なんてイヤだから。