赤い電車のあなたへ




三日湖へ行く前日、なぜか清川家の夕食は味気なかった。


どうしてかと言えば、夏樹が黙りこくって会話がなかったから。いつもは賑やかな楽しい食卓なのに、重苦しくてご飯の味がわからない。


その日の夕食当番は夏樹だったから、せめて美味しいと褒めて話をしたかったのに。
夏樹は誰にも目を合わせようとせず、黙々と食事をしていた。


話しかけるなって空気がすごく伝わってくるからか、父親の健太叔父さんもすごく気遣って無理に注意したりしないし。


いったいどうしてそんなに機嫌が悪いのか。わたしにはさっぱりと理由が思いつかずに困った。


せっかく明日からの旅行を楽しみにしてたのに、そんなに行くのが嫌なら無理に着いてこなくていいんだけど。なんてわたしは勝手なことを思う。


夏樹がいとこや彼女を心配するのはいつものことだけど。しばらく考えてから、そうかと納得できる理由を見つけた。


きっと夏樹は、恋人のほたるが他の男性と仲良くしたりしないか心配なんだ!


うん、それで機嫌が悪いんだ。夏樹はもともと心配症で、あれこれ先回りした想像で気を揉んでしまうのはよくあるから。